Friday, March 10, 2006

「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

・・・・もしかしたら君絵はわたしたちの歌とピアノによって、何かを変えることができると思っていたのかもしれない・・・・・

nanyはこの一節を読んだとたんに涙がこみ上げてしまった。。。
通勤のバスの中、あわててパタンと本を閉じる・・。そして同時に目を閉じる・・・・。
セーフ;<涙寸止め>であった。。。。。。

「アーモンド入りチョコレートのワルツ」は最近このブログでもチラリと紹介した。
エリック・サティー作曲『童話音楽の献立(メニュー)』という組曲のなかの1曲だ。
そして、nanyが読んでいた小説の表題も「アーモンド入り・・・」であった。
この小説はクラシックの曲をモチーフにして書かれた3つのお話からなる短編集・・・・・。

この本については、本を読み始める前にも簡単に紹介したのであらましについては、2月のブログ<本と音楽と・・・>をご参照ください・・・・・。

さて、nanyはこの一冊を無事、本日の通勤電車の中で読み終えた。っつーか、この本は全て電車、バスの中で読んだわけで、それには難関があまりに多すぎた;
感動と言う一言ではくくれない、何とも言えない感情の波がドドーンとおしよせる。。。
nanyは何度も<涙寸止め>を行うはめになった。
設定は違えど、「あの頃の自分、今自分の中にいるあの頃の自分」がビシビシとリンクしてくる。
正直読みはじめはこの小説の語調に馴染めない感があったが、2~3頁読むとすぐに<撤回>できた。

この短編集は3話とも中学生が主人公であるが、ただ甘酸っぱいだけの青春小説ではない。。。
テーマは意外と重いところから切り込んでくる。
 陰口に楽しみを見出し、真相の分からないままエスカレートする不満、実は・・・。
 不眠症の少年と虚言壁のある少女の出会い、そして・・・・・。
 日常から離れた共通の心の居場所を持つ大人と子供、やがてそれは・・・・。

どの話の主人公も必ずある「歯車の狂い」によって泥沼の状況や最悪の精神状態に落ちてゆく。
しかしそれを、モチーフとなる曲を巧みに織り込みながらドラマチックに展開させていく。
けして無理にハッピーエンドに繋げることなく、且つ、悲惨な結末とも違う。。。。
その読後感は不思議に穏やかな気持ちと軽い切なさが残る・・・・・・。

nanyは中学生や高校生が主人公の青春小説に対しては「食わず嫌い」なところがあった。
しかし<ジャケ買い>じゃないがタイトルに惹かれて思わず買ったこの本で、またひとつ大切なものを得た・・・いや、失わずに済んだ気がするのである。
そして<衝動も悪くはない>とも思ったりするのだ・・・・・・。

       nany*52%  7*48%

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